小林先生、本日は交通事故による「むち打ちと後遺障害等級」について伺いたいと思います。よろしくお願いします。
小林よろしくお願いします。
車に乗っている際に後方から追突され、その衝撃で首や腰を痛める方が多いと聞きます。いわゆる「むちうち」の症状ですが、この「むちうち」には特有の問題があると伺いました。具体的にはどのような問題があるのでしょうか。
小林今おっしゃられたように、交通事故の事案の中では追突が比較的多いですね。
追突ですと、通常は過失割合では100対0、すなわち、被害者側の責任は一切ないと判断されるケースがほとんどです。
そうすると、被害者側の保険会社はその交通事故に対して被害者さんを代行する権限がないということになり、被害者さんご自身が相手方の保険会社とやり取りをしなければならないことになります。このことが、まず一つの大きな問題点だと思います。
次に、むちうちによる治療は長期化するケースが多くあることです。むちうちの症状は外見からではわからなかったり、レントゲンなどの画像にも異常が出なかったりすることが多く、客観視しづらいという問題があります。そのようなところから、治療をしても症状が残ってしまった場合であっても、後遺障害等級認定で適切に認定されないことがあります。
今お話にありました、むちうちにより首や腰の痛みなどの後遺症が残ってしまうケースについてですが、このような後遺症が残ってしまった場合には、損害賠償などに関してどのような問題が生じるのでしょうか?
小林先ほど申し上げたように、むちうちの症状は目に見えづらいため、適切な等級認定がなされない可能性があります。
適切な認定がなされないということは、痛みが残っていても賠償額に反映されないということでしょうか?
小林そうです。認定がなされなければ、相手方保険会社としても認定があるものとして損害賠償額の算定をすることはできませんので、賠償としては適切ではないものになってしまうかと思います。
それでは、被害者が「適切な認定を受けたい」と希望した場合にはどのような手立てがあるのでしょうか?
小林後遺障害の認定に関して必要な資料を手配するなど、適切な認定を受けられるように我々がお手伝いをさせていただくことが出来ると思います。
場合によっては、弁護士さんに後遺障害の等級認定についても相談が出来るという事なのですね。
小林はい。後遺障害の等級認定に関することもお気軽にご相談ください。
もし、むちうちで後遺障害が残った場合、どのような等級に該当する可能性があるのでしょうか?
小林多くのケースでは、後遺障害等級の14級9号というところで、神経症状による等級が認定される可能性があります。
どのような症状であれ、14級9号だけなのでしょうか?
小林神経症状でいえば、12級13号に認定される可能性もあります。
むちうちのような神経症状だと、14級9号もしくは12級13号に認定される可能性があるのですね。14級9号と12級13号とでは、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか?
小林後遺障害認定の基準上では「局部に神経症状を残すもの」が14級9号、「局部に頑固な神経症状を残すもの」が12級13号とされています。文面だけでみると「頑固な神経症状かそうでないか」が違いとなります。
「頑固な神経症状かそうでないか」はどのように判断されるのでしょうか?
小林頑固な神経症状か否かは、その神経症状が医学的に証明可能かどうかというところで判断されます。証明は出来ないが、説明は可能なものが14級、証明可能なものが12級となります。
例えば、レントゲンやMRIなどの画像検査や神経学的検査による他覚的所見によって神経症状を証明できるものは12級に該当すると考えていいかと思います。
むちうちの場合だと適切な等級認定を受けることが難しいケースもあるのですね。もしも、適切な等級が認定されず納得がいかないという場合には、どのような手立てがあるのでしょうか?
小林はい、その場合には異議申立てという手続きがあります。
認定された結果に対して不服申立てをするということです。ただし、最初の後遺障害等級認定手続きと同じ資料を提出しては同じ結果になってしまいますから、我々専門家が検討し、適切な等級認定を受けるために必要な資料を提出して異議申立てを行うという手立てが考えられます。
異議申立ての手続きについても、弁護士さんにご相談可能ですか?
小林はい、後遺障害等級認定の異議申立てを被害者の方からご依頼頂き、弁護士がお手伝いした結果、適切な等級へと変更され、解決につながった事例も多数あります。
それは心強いです。弁護士さんに後遺障害の等級認定の異議申立てについても相談できるのですね。
小林:はい。認定に不満がある場合、等級が妥当かどうかわからない場合には、お気軽にご相談ください。