買い物のために車で外出し、自宅に帰宅する途中に、後方から激しく追突され、むちうちの症状で首と腰が辛く悩まされました。
結局治ることはなく、7ヶ月が経過したところで、保険会社から治療を止めてほしいと言われました。納得はいかないですが、もめたくなかったので了承しました。
医師に後遺症の診断書をお願いしたのですが、「むちうちは認定されにくい」と言われました。保険会社の担当者も、後遺症が認定されるかはわからないと言っています。
この後どうすればいいでしょうか?
後遺障害等級の認定手続きを行いましょう。
むちうち(頚椎捻挫等)による頚部痛(首の痛み)や上肢の神経症状(手のしびれなど)は、その症状が残存していることを、客観的に目に見える形で示すことができないため、ときとして、症状に見合った等級が認定されないケースがありますので、ポイントを押さえて手続きする必要があります。
後遺障害等級の認定とは?
後遺症の態様は被害者一人一人それぞれ異なります。しかし、すべての被害者の損害を個別に算出することは困難です。
そこで、後遺障害を16等級35系列の等級に分類し、迅速かつ公平な処理を試みています。その後遺障害を等級に分類し認定する手続きを後遺障害等級の認定と言います。
後遺障害等級が認定された場合、以下の費目も損害賠償として請求することができるようになります。
逸失利益 | 後遺障害を負ったことにより労働能力を喪失し、発生した減収を賠償する費目 |
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後遺障害慰謝料 | 後遺障害を負ったことによる精神的・肉体的苦痛に対する慰謝料 |
これらの費目の計算の基礎となるのが等級です。
逸失利益は、基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間で計算されますが、労働能力喪失率は等級に応じてベースとなる数字が決まっています。
また、後遺障害慰謝料についても、等級によってベースとなる金額が決まっています。
仮に残ってしまった症状や障害は同じでも、後遺障害等級が適正に認定されるか否かで、後遺障害に関する損害賠償請求額は大きく変わってきます。
後遺障害等級の認定は、損害賠償請求の基礎となりますので、適正な賠償を受けるためには、適正な等級認定を受ける必要があるのです。
目に見えにくい後遺症
むちうち(頚椎捻挫・外傷性頚部症候群などの傷病名)で首の痛みと腕のしびれが残った場合、その痛みやしびれは目に見えません。
数値に表すことも困難です。ですので、むちうち後の後遺症はしばしば【目に見えにくい後遺症】などと言われます。
【目に見えにくい後遺症】は、時にその症状を他覚的(客観的)にとらえたり、数値化・可視化することが困難で、患者である交通事故被害者の方の主観的な症状の訴えのみによって表現されることから、その辛さが他者に理解されず精神的な被害が発生することもあります。
しかし、むちうち後の目に見えにくい後遺症であっても、その症状・治療状況、検査所見次第では、等級が認定されている例は多数あります。
むちうちの症状について、後遺障害等級が認定されるか否かのポイントは
受傷状況 | 事故の態様、程度 |
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通院状況 | どのくらいの期間、どの医療機関へ通院しているか |
症状の一貫性 | 受傷時から症状固定時まで、自覚症状は一貫しているか |
画像所見および神経学的検査所見 | レントゲンやMRIの検査所見、徒手検査の所見等 |
などが挙げられます。
これらのポイントを総合的に考慮し、後遺障害等級の判断がなされます。
むちうちの後遺障害等級
むちうち後の後遺症は「局部の神経症状」というカテゴリに分類され、14級9号もしくは12級13号に認定される可能性があります。
後遺障害認定の基準上では「局部に神経症状を残すもの」が14級9号、「局部に頑固な神経症状を残すもの」が12級13号とされています。
文面だけでみると「残った神経症状が、頑固な神経症状か、そうでないか」が違いとなります。
頑固な神経症状か否かも目に見えないわけですが、そのどちらに該当するかは、残った神経症状が医学的に証明可能かどうかというところで判断されます。
- 証明は出来ないが説明は可能なものが14級9号
- 証明可能なものが12級13号
事前認定と被害者請求
さて、交通事故により受傷し、継続的な治療を必要とする場合には、相手方任意保険会社が治療費等を一括して支払う対応がなされていることが多いです。これを【一括払い】などと呼んでいます。
一定期間治療をしたけれども、後遺症が残ってしまった場合、一括払いをしている任意保険会社がその流れのまま後遺障害等級の認定手続きも行なってくれる場合もあります。これを【事前認定】と言います。
一方、被害者の側から直接自賠責保険会社に対して、後遺障害等級認定を申請する方法もあります。それを【被害者請求】と読んでいます。
被害者請求は事前認定とは異なり、被害者側が主体となって行う手続きになります。
後遺障害等級認定は弁護士に相談
被害者請求と事前認定、どちらの手続きをとるかは、被害者ご自身で決めることが出来ますが、それぞれの手続きのメリットとデメリット、現在残ってしまっている症状や、自賠責限度額の支払のタイミングなど考えなければならない項目が多く、怪我の治療と並行して行うには負担が大きいかもしれません。
特に、目に見えない後遺症の後遺障害等級の認定は、適正な評価がなされないこともしばしばあり、非該当となってしまう場合も多いです。
しかしながら、弁護士のような専門家が上記の被害者請求によって再度手続きを行うことで、適正な等級が認定されることもあります。
被害者請求はご自身で行うこともできますが、
- 資料を集めるのが難しい
- 集めた書類に不備がないか不安
- 自分で手続きをしようとしてもなかなかうまくいかない・・・
確かに、後遺症に悩まされながら、目に見えにくい後遺症を立証するための資料を集めたり、それに伴う煩雑な手続きを行うことは大変かもしれません。
そんなときは、すべてをご自身で手続きを進めるのではなく、弁護士等の専門家に相談してみるのも解決策として一つの手となります。
特に交通事故の後遺障害認定の申請においては、専門的な知識が必要になったり、症状と事故との因果関係の証明が難しかったりすることから、当事務所では日々、多くのご相談者様のお悩みに対処しております。
初回のご相談は無料となっておりますので、お困りの方は、一度当事務所までご相談ください。